賃貸物件を探す際、収納スペースの有無・広さは快適な住環境実現に欠かせません。中でも、トランクルーム付き賃貸マンションは、十分な収納スペースを確保しつつも、居住空間を圧迫しない、魅力的な物件です。
しかし、「コストに見合う利便性があるの?」「デメリットがないか心配」など、不安な点もあるでしょう。そこで今回は、トランクルーム付き賃貸マンションについて、メリット・デメリットを詳しく解説します。
物件探しのポイントも解説するので、トランクルーム付き賃貸マンションを前向きに検討する人はぜひ参考にしてみてください。
予備知識があれば、「自分の理想に沿っているか」「許容できないリスクはないか」などを把握できるため、契約後の後悔を抑えられます。
トランクルーム付き賃貸マンションとは?基本的な種類と特徴

トランクルーム付き賃貸マンションとは、文字通りマンションに倉庫(トランクルーム)が併設された賃貸物件です。ただし、明確な定義があるわけではないので、いくつか種類があります。
収納スペースへのこだわりがある人は、各種類の特徴を理解した上で契約しましょう。
マンションの部屋に隣接するタイプ
最もオーソドックスなのは、玄関横(共用廊下側)やバルコニーの壁などに併設されるトランクルームです。部屋の専有部分とは別に利用できるため、室内の収納スペースを圧迫する心配がありません。
間取り図では、「TR(トランクルーム)」「TS(トランクスペース)」などと表記されます。
マンションの敷地内にあるタイプ
マンションの共用部分(駐輪場)や別棟に、トランクルームが併設されるケースもあります。この場合、マンションによっては別途使用料が発生するほか、利用希望者が多ければ契約できない恐れもあるので注意してください。
しかし、隣接スペースとは異なり、広い倉庫(約1畳)を利用できるため、大型の荷物も収納しやすいです。
マンションの敷地外(提携先)にあるタイプ
月額料金が別途必要なものの、マンションが提携しているトランクルームを利用できるケースもあります。外部のトランクルームなため、他タイプより距離はありますが、通常のトランクルームより低額で利用できます。
さらに、広さのバリエーションも豊富なので、荷物の量や用途に応じて倉庫を選べるのも魅力。提携先のサービス次第では、コンシェルジュやアドバイザーなどへの相談も可能です。
賃貸マンションの収納とトランクルームの違い
賃貸マンションの収納スペースとトランクルームの違いは次のとおりです。
| 特徴 | 収納スペース | トランクルーム |
| 収納力 | ・専有面積に左右される ・部屋別に用途が限られる | ・広さにバリエーションあり ・専有面積に左右されない ・大型荷物も収納しやすい |
| 料金 | 無料 | 有料のケースあり |
| 利便性 | 荷物運搬の手間がない | 敷地外の場合は運搬の手間がある |
一般的な収納スペースはマンションの室内に設けられるため、収納力は専有面積に左右されます。一方、トランクルームは共用部分や敷地内・外などにあり、部屋の広さとは関係ありません。
「キャンプや釣りが趣味」「子どもの思い出の品を残したい」など、収納へのこだわりがある人はトランクルーム付きマンションを検討してみましょう。
トランクルーム付き賃貸マンションに住む5つのメリット

トランクルーム付き賃貸マンションに住むメリットを5つ解説します。用途やライフステージと照らし合わせ、理想とマッチするかチェックしておきましょう。
メリット① 居室スペースを広く有効活用できる
トランクルーム付き賃貸マンションの最大の魅力は、居室のスペースを広く使える点です。通常の物件では押し入れやクローゼットに入りきらない荷物が増えると、部屋の生活空間を圧迫します。
しかし、専用のトランクルームが利用できれば、家具や季節用品、スーツケースなども収納できます。居室内の面積を有効に使え、間取り以上に広さを感じられる住環境を実現できるでしょう。
メリット② 荷物の出し入れが簡単で時間に縛られない
外部のトランクルームを契約すると、自宅から車や電車で移動しなければならず、荷物の出し入れに時間がかかります。これに対して、トランクルーム付き賃貸マンションなら敷地内にあるため、必要なときにすぐアクセス可能です。
24時間利用できる業者が多く、生活リズムに合わせて荷物を出し入れできるのは大きなメリットです。仕事で帰宅が遅い人や休日にまとめて片づけたい人にとって、トランクルーム付き賃貸マンションは利便性が高いでしょう。
メリット③ セキュリティ面での安心感が強い
トランクルーム付き賃貸マンションは、居住者専用の敷地内に設置されているため、防犯面でも安心できます。オートロックや監視カメラがある物件では、外部の人が出入りしにくく、荷物の盗難リスクが軽減されます。
外部のトランクルームでは施設ごとのセキュリティ体制に差があります。セキュリティが充実しているほど料金も高額なため、セキュリティリスクを軽減しつつ、コストも抑えたい場合はトランクルーム付き賃貸マンションがおすすめです。
メリット④ 趣味の道具や季節用品の保管場所に困らない
キャンプ用品やスキー道具、自転車などは部屋に置くとスペースをとり、賃貸の限られた収納には収まりきりません。しかし、トランクルームがある物件なら、こうした趣味のアイテムや季節家電を収納でき、普段の生活空間を快適に保てます。
物件によっては共用部分や別棟にトランクルームが設置され、大型の荷物も収納可能です。生活スペースと収納スペースを分けられることで、日常の暮らしがぐっと快適になります。
メリット⑤ 別途トランクルームを契約する手間と費用を削減
外部でトランクルームを契約すると、毎月の賃料や初期費用が発生します。さらに、電車・車での移動は交通費がかかります。
しかし、賃貸マンションにトランクルームが付いていれば、共益費や管理費に使用料が含まれ、別契約の手間はかかりません。コスト削減につながり、時間・手間を考えても効率的です。
特に荷物が多いファミリーや趣味の道具を持つ家庭にとっては、コスト減と利便性を両立できる点が大きな利点となります。
トランクルーム付き賃貸マンションに住む4つのデメリット・注意点

トランクルーム付き賃貸マンションに住むデメリット・注意点について解説します。契約後のリスクがないか、許容できない部分がないか確認しましょう。
デメリット① コストがかかる
トランクルーム付き賃貸マンションは、通常の賃貸物件と比べて家賃や管理費が高めに設定されるケースがあります。収納スペースが追加される分、建設コストや維持費が上乗せされるためです。
別途契約が必要な場合、家賃や共益費に加え、トランクルームの月額料金を支払わなければなりません。
「小型家電・インテリア」「シーズンオフの衣類」などの収納を目的としている場合、一般的な収納スペースの方が金銭的な負担を抑えられるでしょう。
デメリット② 物件数が少なく希望のエリアで見つかりにくい
トランクルーム付き賃貸マンションは供給数が少なく、希望するエリアや駅近の物件を探すのが難しい場合があります。物件数の多い東京都内でも、トランクルーム付き賃貸マンションは全体の約2~3割程度です。
また、都心部では需要が高いため、新着情報が出てもすぐに埋まる可能性もあります。入居希望の場合、大手賃貸情報サイトで「トランクルーム」や「収納」といった検索キーワードを使い、最新の物件情報を定期的にチェックしましょう。
デメリット③ トランクルームの広さや設備は選べない
賃貸マンションのトランクルームは共用設備の一部として設置されるため、広さや仕様を自由に選べません。収納する荷物の量や種類によっては十分に収まりきらない場合もあるため、内見時に必ずトランクルームの面積や設置場所をチェックしましょう
用途や日々の使い勝手をイメージして、利便性を確認することが重要です。
デメリット④ 湿気やカビ対策が必要な場合がある
トランクルームに空調設備が整っていない場合、湿気やカビ対策は必須です。梅雨や夏など、気温・湿度が上昇する季節は、書籍・衣類・寝具などをそのまま保管すると、カビ・ダニの発生を招きます。
「除湿剤や防虫剤を利用する」「収納物を定期的に入れ替える」など、自己管理が求められる点は注意が必要です。湿気対策を怠ると、せっかくの便利な設備が逆効果になることもあるため、事前にリスクを理解しておきましょう。
外部トランクルームと賃貸マンションの設備 どちらを選ぶべきか比較

外部のトランクルームと賃貸マンションのトランクルーム、どちらを選ぶべきかポイント別に比較してみましょう。
月額料金と初期費用
外部と賃貸マンションのトランクルームについて、月額料金・初期費用を比較します。
| 外部のトランクルーム | 賃貸マンション | |
| 初期費用 | 2~3ヶ月分の月額料金 | – |
| 月額料金 | 6,000~8,000円/帖 ※別途、管理費や保証料などが発生するケースあり | ・共用部に併設:家賃や共益費に含まれる ・提携先:低額で利用できる |
コストだけで比較した場合、トランクルーム付き賃貸マンションの方が安く済む可能性があります。
もちろん、賃貸マンションの立地や設備など、グレードによって家賃は変動するため、いくつか条件を変えつつ料金の安い方法を選びましょう。
利便性とアクセス
外部のトランクルームは物件から車や自転車、電車で通う必要があり、荷物を出し入れするたびに移動が発生します。特に重い荷物や大きな家具を頻繁に利用する場合は不便に感じることもあるでしょう。
一方、賃貸マンション内のトランクルームなら、居住スペースからすぐにアクセスでき、時間に縛られることなく使えます。交通費や運搬の負担など、利便性を考慮する場合はトランクルーム付き賃貸マンションの方がおすすめです。
保管環境とセキュリティ
保管環境とセキュリティに関しては、外部のトランクルームを契約した方が無難です。
業者によって設備・セキュリティは異なりますが、大手業者(屋内型)であれば以下の設備が一般的に導入されています。
- 空調設備(もしくは換気設備)
- エレベーター
- 駐車場
- 台車
- 防犯カメラやセキュリティキー
- スタッフによる定期清掃と巡回
中でも、空調設備の有無は、トランクルームでは重要な要素です。保管環境を維持できれば、収納した荷物の劣化を防ぎやすくなります。
一方、賃貸マンション内のトランクルームは、空調設備がないケースも少なくありません。セキュリティは建物の管理体制に組み込まれており、オートロックや監視カメラなどのセキュリティシステムが共有されます。
荷物の安全性を比較した場合、外部のトランクルームの方が安全に預けやすいと言えるでしょう。
失敗しないトランクルーム付き賃貸マンションの賢い探し方

契約後に後悔しないよう、トランクルーム付き賃貸マンションの探し方も心得ておきましょう。
大手賃貸情報サイトでの検索キーワードと絞り込み機能
トランクルーム付き賃貸マンションは物件数が少ないため、大手賃貸情報サイトを活用した方が選択肢を広げられます。大手サイトの場合、検索機能が充実しており、フリーワードでの検索が可能です。
検索キーワードに「トランクルーム」「収納」「賃貸マンション」などを入れ、絞り込み機能で条件を指定すれば、希望に近い物件を効率よく見つけられます。新着物件がすぐに埋まることもあるので、アラート機能を利用して最新情報をチェックするのも有効です。
不動産会社に希望条件を的確に伝えるコツ
不動産会社に相談する際は「絶対に外せない条件」「緩和できる条件」を設定し、希望条件を伝えましょう。条件に優先度が付くと、優先度順に物件を紹介してもらえるため、選択肢を広げやすくなります。
さらに、希望条件に近い賃貸マンションを見つけやすくなり、契約後に後悔するリスクも抑えられます。
内見時に必ずチェックすべきポイント
内見の際は、居室の間取りだけでなく、トランクルームについて以下のポイントをチェックしましょう。
- トランクルーム内の奥行・横幅・高さ
- 湿気対策や換気の状況、空調設備の有無
- トランクルームまでの動線
- セキュリティ対策の有無(監視カメラやオートロックなど)
- 収納できないもののリスト
広さを確認するときは、荷物の大きさに合わせるだけでなく、すのこやラックなどの収納グッズも設置できるかチェックしてください。ライフステージの変化によって荷物の種類が変わる可能性もあるため、将来性も見据えましょう。
トランクルーム付き賃貸マンションは条件緩和を想定することも大切
トランクルーム付き賃貸マンションは、収納不足に悩む人にとって非常に便利な選択肢です。居室の収納だけでは足りない荷物を敷地内にあるトランクルームへ預けられるため、生活スペースを広く使えます。
ただし、マンションによっては別途料金が発生する可能性があるほか、空調設備がない恐れもあります。事前に希望条件をリストアップして、理想のトランクルームについても不動産会社と共有しておきましょう。
また、トランクルーム付き賃貸マンションは物件数が少ないため、条件を絞りすぎると理想の物件が見つからないかもしれません。条件の緩和や外部のトランクルームも検討しつつ、比較検討することが大切です。


コメント